2/24 第2回ひがしおうみしSNSモニターツアー
(2日目その2/奥永源寺政所「喜の花工房」での木工細工体験)
慧蔵さんを後にして次は、琵琶湖の支流のひとつ愛知川の源流にほど近い「政所(まんどころ)」
に有る
「喜の花工房」さんを尋ねます。
この工房はオーナーの川上さんが、製茶工場として利用されていた建物をご自身の手で改修され、
いまは地域のコミュニティースペースとして開放されたり、「政所」を訪れる観光のお客様に幻の銘茶
とも言われる
「政所茶」やコーヒーなどを提供されている、アトリエ兼休憩処です。
バスは慧蔵さんを出発したあと永源寺ダムを過ぎた辺りから、どんどん周りの景色が雪深く
なり、2月の下旬とは思えないほどの降雪の中を目的地へと向かい、目的地に着いた時に
足元は15cm以上の積雪で、辺り一面白銀の世界となっていました。
主催者としては苦笑いするしか無い状況でしたが、今回参加された方はお住まいが雪国で
無い方ばかりで、近年これほどの雪景色を目にすることが無いことから、童心に還って(?)
雪景色も楽しんでいただけたようです(笑)
そして、今日はこのSNSツアーのために何か体験メニューが出来ませんか?と川上さんに
お願いしたところ、和菓子をいただくときに使う木製の小さなナイフのような道具
「くろもじ」を
「煤竹(すすだけ)」を使って作る木工体験をご提案いただきました。
工房に到着すると、製茶工場を改修して作られたそのスペースには、当時の面影を残す作業
台が大きなテーブルになっていたり、製茶機器の車軸部分を使ったガラスのテーブルが有った
りと、川上さんの愛着がひしひしと伝わってくるこの空間に、参加者さんも感動されている様子。
さらに、川上さんの奥さんは絵画や陶芸、キルトアートなど多趣味な方で、工房の窓際や壁に
飾られた「政所」の四季折々に見せる自然の彩りを切り取ったような作品が目を惹きます。
一息ついたあと、さっそく小刀片手に木工細工に挑戦です。
ご用意いただいた材料から好みの大きさのものを選んだあと、「小刀なんて、使うの何年振り
かなぁ」と懐かしい思い出とともに作業が進み、世界にひとつの「マイくろもじ」が完成しました。
製作作業のあと、川上さんのご好意で奥さんお手製の出来立て「へそ団子」と幻の銘茶
「政所茶」も振舞われ、窓の外いまだ降り止まない雪を眺めながらいただく温かいお茶が、
身も心も暖かくしてくれました。
「くろもじ」とは
「くろもじ」は、茶席などで和菓子をいただく際に使う小さなナイフのような道具の呼び名。
この原料となるクスノキ科の樹木の樹皮には黒い模様が有ることから黒文字(くろもじ)と呼ばれ
ています。その黒文字という木を削って作られている和菓子を切り分けるのに使う小さな木製の
道具で、樹木の名前がそのまま道具の呼び名となっています。
厳密には、黒文字以外の材料で作られたものは「くろもじ」ではないのですが、いまでは原材料
にかかわらずこの道具のことを「くろもじ」と呼びます。
(材料が黒文字でないものを「くろもじ」とは言わないとおっしゃる方もいらっしゃるようですが・・・)
「煤竹(すすだけ)」とは
煤竹は、古い茅葺屋根家屋の屋根裏や天井からとれる竹のことで、100年から200年以上という
永い年月をかけ、囲炉裏の煙で燻されて自然についた独特の茶褐色や飴色に変色しているのが
特徴の材料。茅葺屋根に囲炉裏という家屋がほとんど無い現代においては、煤竹そのものが希少
であり、価格は1本で数十万円以上することも普通とされるたいへん高価な材料です。
政所では数は減ってはいますが、まだ茅葺屋根の民家も有り、リフォーム等をされる際に手に入る
ことはあるのですが、人工的に作ることは可能とは言え、100~200年の歳月を要することを考え
ると、かなりレアで高価な材料なのです。
(続く)